銀緑館の最後の見学会
福永です。
銀座6丁目に、1931年に竣工された銀緑館というビルがあります。昨日、「OPEN!architecture」という団体を通じて館内を見学する事ができました。
かつては画商、洲之内徹氏が主宰した「現代画廊(「銀座で一番ちっぽけな画廊」)、文化人の集う「BAR樽」、その他ギャラリーや高級紳士服のテーラなどが営まれ、文化人が多く出入りした建物です。
その建物が、銀座の再開発にともない、今年の6月末で姿を消すという事で、日本初・建物一斉公開イベントを主催する「OPEN!architecture」が、銀緑館の管理会社や、今も営業しているテナント(テーラー銀座スコット)の奥様に交渉し、今回のイベントが実現しました。
私が何故、このイベントを知ったかというと、「銀座奥野ビル306号室プロジェクト」というサロンがあり、何回か参加させて頂いています。建築好きな方が多くて、話をしていてとても刺激になります。前回は、奥野ビルの306号室で九段会館や日比谷公会堂についての映像を見て、その後にワインを飲みながら建築のあれこれ話をしました。確か、ブータンの建築についての話がメインだったと記憶しています。
そこで知り合った方が、OPEN!architectureを主宰されていて、今回の銀緑館の見学会を知ったのです。
銀緑館は、既にほとんどのテナントが他に移っており、今はテーラーと管理会社が入っているだけです。今回は管理会社様の御好意で館内に入ることができました。
共用部分写真です。
モザイクタイルや、天井のモールディングが、心をそそります。
時間と共に熟成されて、しっかりと大切に管理されている雰囲気を感じます。古くても細部が輝いているから、人は古い建物に魅かれるのでしょうか?それは新しくて輝いているのとはわけが違います。
テーラー銀座スコットの奥様に、御好意でお話しして頂きました。こちらのお話しがあると、ないでは大違いです。45年間銀座にいらっしゃるそうです。銀座も大分変わってしまったという話から、仕事への思い、人の繋がり、銀緑館への思いを話していただけました。まさに生の声です。
「正直に生きていれば怖いものなんてひとつもない」という言葉が、とても印象的でしたし説得力がありました。
主催者のOPEN!architectureは、建物の説明だけではなく、その建物で生活されていた人の、生の声を大切にしているとのことでした。その姿勢にはとても共感を覚えますし、苦労する事も多いと思います。
個人的な考え方ですが、建物はあくまで建物で、見た人が意味をつけているに過ぎず、それだけでも当然楽しめます。しかしながら、生の声を聞くことによって、それが自分の経験や体験になります。今回は、お陰さまで銀緑館を体験させていただいたのです。
ありがとうございました!
余談ですが、これらの建具類はどうするのでしょうか?
次に建てるビルで利用しても、なおモダンだと思いました。
仕事が良いと時間の淘汰されませんね。素晴らしいです。
オープンアーキテクチャー http://open-a.org/
奥野ビル306号室プロジェクト http://306project.web.fc2.com/index.htm
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