武蔵野市にある旧赤星鉄馬邸の一般公開に行く
『武蔵野市が旧赤星鉄馬邸を期間限定で一般公開』
朝食を食べながら、広げた新聞をぼんやり眺めていると目に入ってきたタイトル。
近代建築を見て廻るのは好きだが、ここ最近は、コロナで公開が制限されていたり、仕事の忙しさもあって、行けていなかった。
「そういえば、最近ゆっくりしてないなぁ」
スケジュールを確認してみると、公開期間の最終日には予定が白紙。これは天啓!とばかりに、朝から行ってきました。
赤星鉄馬邸という近代建築があり、武蔵野市によって保存されていることは知りませんでした。
昭和9年に、アントニン・レーモンドによって建てられ、登録有形文化財に登録されたモダニズム建築です。
建物だけでなく広大な庭も魅力です。
「最終日なので混むかなぁ、いや平日だから朝イチで行けば大丈夫だろう」という考えは甘かった。
着いた時には、玄関から塀を伝って庭まで伸びる長蛇の列。
列に並ぶこと45分。やっと入館できました。
階段室の円柱部分から、庇が突き出た玄関。
キュッと締まった印象の正面です。
横から見るとまた印象も変わりますね。
高さを抑えて軒や庇で水平ラインを強調するライト風建築です。
玄関ホールから、階段室を左に見て、最初の部屋は、居間・食堂。
庭に面した壁は、一面が窓になっていて、開放的です。
芝生広場との間には藤棚があり、程よく日差しを遮っています。
ベンチを出して、縁側的な風情も味わえます。
ここは、造り付けの家具も見どころです。
家具は、レーモンドの妻のノエミ・レーモンドのデザイン。
アメリカから取り寄せた、赤セコイアを使ったもの。
下の、暖炉風のくり貫かれた部分は、何かしらの用途があったのか、単なるデザインなのかは気になりました。
2階の書斎にも同じようなスペースがありました。床のタイルと周りの素材から、ここは暖炉だったのかなぁと思って覗いてみたら、上は塞がっていましたので、そうではなさそうです。
左の引き出しが、ちょうど同じような形をしていましたので、暖炉風のデザインにした可動の引き出しなのでしょうか。
収納のデザインは斬新なものが多く、書斎には、壁一面に丸窓がつけられた収納も。
玄関の庇にも同じものが付けられ、デザインの統一感を保つことと、採光窓としての役割を持たせているようです。
明り取りの役割を兼ねている収納を見るのは初めてでした。収納物が日に焼けないかなんて庶民的な心配もしたりして。北側だからいいのかな。
子ども部屋の収納です。
部屋の隅に整然と造られていました。
子ども部屋は、広いスペースを等間隔の円柱があり、天井にはレールが敷かれ、3つに仕切れるようでもありました。
書斎、夫人室、子ども部屋、食堂・居間など、家族が過ごす空間は、庭に面した南側にあり、子ども部屋も南向き。窓からは、広々とした芝生の庭を見渡せます。
青い空と、映える木々の緑がまぶしかったです。
建物内の蔵。
廊下のガラスブロック。
建物内をひと通り見て廻った後は、この建物の大きな特徴でもある階段。
スリットから差し込む明かりがやわらかい。
1階から見上げると、西洋の宗教的な建物の雰囲気もあり、印象も変わります。
最後に、ビルの影ひとつなく、東京とは思えない、広々とした青い空と庭を堪能して、久しぶりの近代建築拝観を終えました。
多少忙しくても、こういう時間は作っていきたいなと、改めて思いました。
ゆっくりいい建物をみることは、私の心の洗濯になるようです。
折角なので、近くの山本有三記念館にも、久しぶりに足を延ばしてみようかな。
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